デジタコのデータ保存期間はどのくらい？

デジタコは、トラックへの搭載を義務付けられている運行記録装置です。デジタルながら操作は簡単で、幅広いデータを記録可能です。そして、デジタコのデータの保存期間は明確に定められています。本記事では、デジタコのデータを保存すべき最低限の期間や望ましい保存期間について詳しく解説します。

デジタコとは？

タコグラフとは、トラックやバス、タクシーなどの営業用車両に取り付けられる運行記録計のことで、走行距離や速度、走行時間、運行状況などを数値で記録する装置です。ドライブレコーダーのように映像を記録するのではなく、運行データを正確に観測・保存することが目的であり、ドライバーの勤務実態や運転状況の把握に役立ちます。

タコグラフはすべての車両に搭載義務があるわけではなく、旅客自動車（バス・タクシー）や貨物自動車（事業用トラックなど）に限って装着が法的に義務づけられています。事業用としてこれらの車両を運行する場合、タコグラフの搭載は必須です。

さらに、最近ではデジタルタコグラフ（デジタコ）が普及しています。これは、SDカードなどのデジタル媒体に情報を保存するタイプのタコグラフで、アナログ式と比べて精密な記録が可能です。走行データをより細かく記録できるほか、通過地点ごとの記録、位置情報にもとづいた警告機能、運転評価機能などドライバーの安全運転を支援する多機能型の製品も多く存在しています。

これにより、車両管理や労務管理の効率化、安全性の向上にも貢献しています。

保存期間は最低1年間

運行記録の保存期間については、法律や実務上の観点から適切な対応が求められています。デジタルタコグラフ（デジタコ）で収集された運行記録については、法律上は最低1年間の保存が義務となっています。

しかしながら、この運行記録はドライバーの勤務状況や労働時間を客観的に示す資料でもあるため、労働基準法にもとづき3年間の保存義務が課せられる可能性も高いです。とくに労働条件や残業管理、勤務実態に関する証拠として運行記録が用いられる場合には、1年ではなく3年間の保存を検討すべきです。

これらの記録が適切に保管されていない場合、運行管理上の分析や把握が困難になります。それだけではなく、労働基準法に関する訴訟などの法的トラブルが発生した際に、企業側が不利になるリスクもあります。運行記録は労働者の業務実態を示す重要な証拠資料であり、法的にも保管義務が課される情報です。

そのため、記録の保存体制については十分な注意を払いましょう。定められた保存期間を守るとともに、万一に備えた長期保管体制の構築も重要です。適切な保存は企業のリスク管理と安全運行体制の根幹を支えるものとなります。

5年間保存するのが望ましい

タコグラフの保存期間については、国土交通省令と労働基準法の双方の観点から適切に判断することが求められます。前述のとおり、国土交通省の規定では、タコグラフの保存期間は1年間が義務づけられています。

しかし、運送業におけるタコグラフの役割は単なる運行記録にとどまらず、ドライバーの労働実態を示す重要な資料としての意味合いももっています。そのため、実務上は5年間の保存が推奨されており、企業にとってより安全な対応といえるでしょう。

この推奨の根拠となるのが、労働基準法第109条の規定です。この条文では、使用者（雇用主）に対して「労働者名簿、賃金台帳、雇入れ・解雇、災害補償、賃金など、労働関係に関する重要な書類を5年間保存すること」を義務づけています。タコグラフそのものについての直接的な言及はありませんが、運送業界ではタコグラフが労働時間や勤務状況など、労働条件に深く関わる記録として扱われているのです。

実際、労働者の勤務実態が問題となる場面では、タコグラフのデータ提出を求められることも多いです。その性質上労働関係に関する重要な書類と見なされることは十分に考えられます。したがって、タコグラフの保存期間については、法的義務である1年間の保存を最低限としつつも、労働基準法に準じて5年間の保存を行うのが望ましいです。

これは、監査や行政指導、また労使間のトラブルや訴訟が発生した際に、企業側が不利な立場に立たされないためのリスクヘッジとして有効です。タコグラフの記録は、ドライバーの働き方や勤務履歴を裏付ける重要な証拠資料になります。

そのため、保存体制を整えて長期間の保管に対応できる仕組みをもつことが、安全な運行管理と企業防衛の観点から強く推奨されます。

まとめ

デジタコは、営業用車両の運行データを正確に記録し、安全運転や労務管理を支える重要な装置です。保存期間は国土交通省令で最低1年間と定められていますが、ドライバーの勤務実態や労働時間を示す記録としての性質から、実務上は3年から5年間の保存が強く推奨されます。とくに労働基準法第109条では、労働関係の重要書類を5年間保存する義務があるため、タコグラフもその対象と見なされる可能性があります。記録が不十分であると、労使トラブルや法的責任で企業が不利な立場になるリスクも否定できません。したがって、タコグラフの記録は単なる法令遵守ではなく、企業の信頼性や安全運行体制を守るための重要資産といえます。長期保存体制の構築が、今後ますます求められるでしょう。

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